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創業者インタビュー

おだわら・はこねではじめたひとたち

佐々木 貴広Interview07FOR YOUR SPORTS

小田原は「つながりがつながりを生むまち」。東京から戻って起業したら、知らなかったこのまちの魅力が見えてきた


 
小田原は人との関わりのなかにあたたかさがある、と佐々木貴広さんは言います。東京で働いたあとに地元である小田原に戻って、2016年6月にフィットネスのパーソナルトレーナーとして独立した佐々木さん。大学でスポーツバイオメカニクスを学び、いずれは地元をスポーツで元気にしたい、と思っていた彼を最終的に起業へ後押ししたのは、創業塾(2018年度は「みんなのビジネススクール」として開講)でした。そこで出会った先輩や仲間の情熱に触れて、小田原でやりたいことを実現する決意を固めます。開業して1年半。覚悟を決めて踏み出した彼にはいま、どんな世界が見えているのでしょうか?
 
 

スポーツの力で、自分も楽しみながら社会に貢献したい

 
—まずはどのような仕事をしているのか教えてください。
お客様のご自宅や勤め先に伺う、訪問型のトレーニング指導をメインに行っているほか、小田原市が開催する高齢者向けの体操教室や、スタジオでのレッスン講師をしています。また、朝の時間にレッスン形式で行う「朝活フィットネス」という活動も行っています。
 

朝活フィットネスの様子。佐々木さんの優しい話し方とわかりやすい言葉で、運動経験が少ない人でも参加しやすい和やかな雰囲気だ。
 
—2016年の6月に開業されて1年半ということですが、今のところお仕事は順調ですか。
まだまだ発展途上で規模も小さいのですが、当初予想していたよりはみなさんに助けられながらやれていると思います。
 
—そもそもなぜこの仕事を始めようと思ったのか聞かせてください。
まずは、単純に本当にスポーツが好きで、小田原でスポーツのイベントを開催して楽しみながら仕事をしたい、という思いがありました。もう一つは、社会に対して何ができるか考えたときに、フィットネスで何かできることがあるんじゃないかと思ったからです。日本人は労働時間が長いこともあって、フィットネスをなかなかしないという現状があります。そうするとどうしても身体の機能が落ちてきて、疲れたりパフォーマンスが落ちてしまい、また労働時間が長くなる……という悪循環に陥ってしまっていると思うんです。もし自宅で運動ができたり、それぞれの人に合った運動を無理なく続けられる環境をつくることができれば、進んで身体を動かす人が増えるんじゃないかと思って。とくに、小田原には経営者の方が多いので、そういった経済を動かす力のある人たちが運動をして元気になることで、小田原の経済も活性化していくと思うんです。
 
 

東京から小田原に戻って感じた、人との関わりのなかのあたたかさ

 
—開業する前はどんな仕事をしていたのですか。
開業の直前までは、横浜でパーソナルトレーニングジムの運営を友人と共同で行っていました。その前は東京でコンサル会社の営業として働いていました。
 
—創業するのはこわくなかったですか?
こわかったです(笑)。こわかったですね。
 

佐々木さんはどんな質問にもひとつひとつ丁寧に考えながら答えてくれる。人の目を見てしっかりとした言葉で話す姿からは、彼の誠実さが伝わってきた。
 
—「こわくてやらない」という人はたくさんいると思いますが、創業するにあたって、よし、やるぞ、ここだ!と思ったのには何かきっかけがあったのでしょうか。
それは創業塾に参加したことだと思います。まずどこから始めるか考えたときに、やはり生まれ育った、愛着のある小田原で、という気持ちがもともと強かったんです。地元の小田原の魅力を上げていきたい、とか、フィットネスで元気なまちにしたい、と思っていました。そう思って開業を考えていたタイミングで、創業塾に参加したんです。実は以前は、小田原からは魅力的な若い人たちが出て行ってしまっているイメージを持っていました。ですが、創業塾に参加してみたら情熱があって魅力的な方にたくさん出会えた。Hameeの樋口さん(※1)や齊藤さん(※2)、旧三福不動産の山居さん(※3)など、主催者や毎回出てくる講師が、「こんなふうになりたい」と思う方が多くて。あと、一緒に受講した仲間や出会った先輩にもかなり影響を受けました。彼らの情熱に触れて、その時点では私自身の準備はまだ全然足りていなかったのですが、それを理由に起業していく仲間に置いていかれるのがなんだかさみしくなってきて(笑)。肩書だけでもスタートラインを一緒にして「創業しました」と言いたかったんですよね。
 
※1:樋口敦士氏。小田原に本社を構えるインターネット通販会社、Hamee株式会社の代表取締役。2015年に株式上場した。樋口さんと鈴廣かまぼこ株式会社 副社長の鈴木悌介さんの対談の様子はこちら
※2:齊藤修一氏。Hamee株式会社の常勤監査役。
※3:山居是文氏。小田原の不動産会社、株式会社旧三福不動産の代表取締役。第3新創業市の企画運営を行う。山居さんのインタビューはこちら
 
創業塾1期生、2期生の卒業生のうち、開業したなかでは当時28歳で最年少だった。
 
—創業塾はロールモデルにも仲間にも出会えた場だったんですね。その後小田原で働き始めて、東京で働いていたときと何か違いは感じますか?
人との関わりのなかにある温度が違うように感じます。小田原は人があたたかいです。
東京で働いていた頃は、先輩に「会社では本音を話すな」、とアドバイスをもらうほどで……。自分の心の中にある弱い部分とか、裏側の部分を見せるべきじゃないと思うような環境だったので、小田原に戻ってきたときに人のあたたかさをより感じたのかもしれません。
小田原の人はつなげてくれるんです、人と人を。なので、開業してから知り合いが本当に増えました!何かしたいことがあるとき、足りないもの、ことがあるときにはすぐにいろんな人を紹介してくれる。以前は、小田原に住んでいても別の世代とのつながりはほとんどなかったですし、行動範囲も狭かった。創業していろいろな人と知り合えて、その方たちがまた別の方を紹介してくれて……。そんなふうに小田原周辺にどんどん知り合いが増えていっています。それと、小田原に住んでいる人は小田原愛が深い人が多いと思うんです。それはきっと、小田原城があったり海や山があったり、無意識に誇れるものがたくさんあるからだと思うんですよね。そういう人たちが多いからこそ、私自身がこのまちに魅力を感じるし、このまちのために貢献したいと思えるのかもしれません。
 
 

自分の手で地元のフィットネス人口を増やしたい

 

どんな人と一緒に仕事をしたいか、と聞くと「前に向かって進んでいる人」と答えた。彼こそが今まさに前に向かって進んでいる。
 
—開業して1年半、ご自身で変わった部分や成長したと思うのはどんな部分でしょうか。
いろいろありますが、まずはより主体性を持って動くようになったことが一番大きいです。もちろんどこで働いていても主体性は必要なのですが、独立してからは、自ら進んで動かないと何も変わらないということを改めて実感しています。そうしなければ、むしろ現状維持すらできずに衰退してしまう。だからこそ、思い立ったらすぐに動ける行動力もついたと思いますし、物ごとの捉え方もポジティブになってきていると思います。こうしたいな、という自主的な欲求も出てきました。一方で、自分自身の課題がより強く認識できるようになってきたのも独立してからです。その分自分の無力さを知って落ち込んだり、将来の不安を感じたりすることも多いですが、一社会人としては成長できていると思います。
 
—それは佐々木さん自身が変わったからこそ、応援してくれる人が増えて、出会える人も変わって、つながりが広がってきたのかもしれませんね。最後に、佐々木さんの今後の目標を聞かせてください。
まずは事業の規模を大きくしていくことですね。小田原を中心に県西地域で少しでもフィットネス経験のある人を増やしていきたいと思っています。いま日本のフィットネス人口は3%と言われているのですが、小田原ももともとは同じ水準だったのに、いつの間にか4%になっていた、みたいなことになったら嬉しいです。人口20万人の小田原で1%増やすとなると2000人ですから、まだ遠く感じますが、まず目標はそこですね。私のレッスンで初めてフィットネスを体験する、というような人が増えたらいいと思っています。あとは、フィットネスのイベントや各種スポーツイベントを企画して開催できる力をつけていきたいです。ちゃんと事業としても成り立たせて、自分自身もお客様も楽しめるビジネスモデルを確立させるのが目標ですね。あの人のイベントなら行ってみたい、と言われるような人間になって、地元に貢献していきたいです。
 
▼佐々木さんに1日の過ごし方をうかがってみました

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