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創業者インタビュー

おだわら・はこねではじめたひとたち

ジェフリー・ギャリッシュInterview02Hoeigo

大好きな小田原で暮らし、日本と海外をつなぐ。〈HoEigo〉の仕事のつくり方


 
ジェフリー・ギャリッシュさんは、熱い人です。仕事でたまたまやって来た箱根が大好きになって、この土地がもっと良くなるために、自分にできることが何かあるはずだとビジネスを始めました。試行錯誤しながらも、今では全国にクライアントを持ち、小田原・箱根の観光分野には欠かせないキーパーソンとなっています。
これからは新しい時代、とギャリッシュさんは言います。デジタルの力を借りれば、好きな場所で仕事ができるし、新しい方法で情報を発信することができる。地域にいながらにして世界とつながるギャリッシュさんは、今まさに小田原・箱根エリアでの新しい働き方を体現しています。
 
 

日本の良さはもっと海外に発信できる

身振り手振りを交えてエネルギッシュに話すギャリッシュさん。一緒にいるとこちらまで元気になれる人だ。
 
―まずはどんな仕事をしているのか教えてください。

私の〈HoEigo〉という会社では、観光情報の翻訳やインバウンド(訪日外国人旅行)分野のマーケティングをしています。どうやって外国人へアプローチして、コミュニケーションしていくのかをお伝えしているんです。北海道から沖縄まで全国にクライアントがいますが、現在メインでお手伝いしているエリアは箱根です。
 
―これまでの生い立ちも教えてくれますか?

私は母が日本人、父がアメリカ人で海軍に勤めていて、佐世保で生まれてアメリカで育ちました。 大学時代に経済学部で日本のバブル時代についても学んで、その頃から日本の良いところを海外へ発信したいと思っていました。大学卒業後アメリカで働いていたんですが、転勤をきっかけに日本に移住し、ALT(外国語指導助手)の仕事に就いてから小田原に住みはじめました。だけど、ALTの仕事をしばらくやってみて、10年後、20年後の自分を予想したときに長く続けられる仕事ではないなと感じ始めて…。日本でのビジネスプランを少しずつ温めていたんです。
 
―なるほど。以前から日本と海外をつなぐようなことをしたいというイメージはお持ちだったんですね。

そうですね。小田原に住んで箱根で働くようになってからは、箱根にもっと外国人旅行客を呼ぶために、何かしないともったいないなと思うようになりました。そこで、私にできて他の人にできないことはなんだろう、と考えたら英語だったんです。そんなことを考えていた頃、箱根のロータリークラブの方とお話する機会があり、ロータリークラブの会合で自分のアイデアを話す機会をいただきました。そこで箱根が大好きであること、でも箱根には外国人向けの情報が少ないということを伝えたんです。すると、ある旅館の経営者の方から、芦ノ湖の旅館組合で英語のセミナーをしてほしい、という依頼を頂いて。

 
―すごいですね。その場でさっそく依頼が入ってくるなんて、やはりニーズはあったということですね。

ニーズは少なからずあったと思います。ただ、仕事はすぐに順調に入ってきたわけではなくて、最初は小田原、箱根エリアだけではなかなかビジネスが厳しかったですね。そんな中で、1時間5,000円で自分の時間を切り売りして、旅館やホテルの現場で英語を教えるやり方はなんだかもったいないなと思ってきました。もっと自分にしかできないことがある、もっと多くの人の役に立てるのではないかと感じていたんです。
そこで、英会話の仕事をしながら、その時に教えていたことをまとめて、旅館やホテルにターゲットをしぼった『おもてなし英語』というpodcastをつくって無料で配信し始めました。お客様を待っているだけではなく、先に有益な情報、価値を無償で提供したんです。これはその後のビジネスにとって本当に良い投資だったと思います。このpodcastをきっかけに、全国のいろいろな場所からパンフレットの作成、WEBサイト制作などのお仕事を少しずつ頂けるようになったんです。実は、箱根や小田原をメインに活動するようになったのはようやくここ1、2年のことなんです。

 
 

このまちが大好きになって始めたビジネス

近年海外からの旅行客が増えている箱根エリア。平日は、日本人以上に外国人の姿を多く見ることもしばしば。
 
―ビジネスの観点から、小田原、箱根エリアはどのような場所だと感じますか?

ビジネスとしては難しかったから、最初はなかなか仕事が入らなかったんですよ(笑)。でも、住む場所としては最高です! 山も川も海も、温泉だってある。自然が好きなので、休日は家族で出かけています。
新幹線があるので東京にもすぐ出られます。仕事相手が東京から来てくれることもある。私は東京はあまり好きじゃないので、東京へは月に2、3度しか行きません。今はPC、インターネットで仕事をする時代ですから、みんながそれを理解してうまく使ったらどこでも仕事ができるようになりますよね。
私は父の仕事の都合で、子どもの頃は2、3年ごとに世界のいろいろな場所を転々としていました。考えてみると、小田原は私の人生で最も長く住んだ場所なんです。私はこの街がビジネスがしやすくて来たわけではないんですよね。まずここに来て、この場所が大好きになって暮らすことを決めて、それからビジネスを始めたんです。とても良い選択だったと思います。
それから、小田原では意外とおもしろい外国人の方と出会います。タイ人の方とも知り合ったし、近所に住んでいるのはフランス人。日本企業で働いている方です。結構国際的な街だと思います。
 
―それは意外でした。みなさんのイメージ以上に小田原の多様性は広がってきているのかもしれないですね。ところで、小田原で仕事をするにあたって、どんな人に助けてもらいましたか?

先ほどお話した、最初にロータリークラブの会合へ連れていってくれた方、そういう方々との出会いが非常に大切でしたね。
あとは、〈鈴廣〉の副社長の鈴木悌介(ていすけ)さん。鈴木さんは以前アメリカでひとりで事業を立ち上げたことがあるそうです。私も日本でひとりで事業を始めて、ほとんどすべて自分で行っていたので、相談できる人もいなくて他の人の苦労話などを聴く機会もありませんでした。そんなときに、2016年度の第3新創業市で鈴木さんに初めてお会いして、鈴木さんが英語が堪能だったこともあってすぐに意気投合しました。彼の経験を聞いて、非常に力をもらいましたね。

 
 

これからはデジタルの力で世界をもっと面白く

子孫が私のことを検索すれば、私のしてきたことがわかってしまう時代。だから、人生においても仕事においても、正直に、良い物を残せるように生きたい、という言葉が印象的だった。
 
―今後の目標を教えてください。

将来はデジタルコンテンツ制作の会社をつくりたいと思っています。情報の発信手段がテレビからインターネットへ完全にシフトする前に、デジタルマーケティングの事業を始めたい。今はチャットボットやAIを使っていろいろ試している段階で、収益にはなっていませんが勉強を始めています。観光業においても、観光地や商品、ホテルなどの魅力をデジタルの力で発信していきたいと思っています。例えば、人工知能を搭載したしゃべるデジタルコンシェルジュを発明したいですね。この新しい世代でどう成功していけるのか、挑戦してみたい。古さと新しさをどう融合させるか、どのような価値を創出できるか追及したい、見出したいです。観光業なら、ローカルフードを紹介する動画をつくってfacebookで公開したら、それもデジタルマーケティング、デジタルコンテンツ制作と言えますよね。おもしろい時代です、本当に。これからいろいろ変わっていきますよ。デジタルをクリエイティブに活用することが価値になる時代になっていきます。

 
 

小田原で、ワークライフバランスを大事にした暮らしを

パワフルに話すときも、静かにじっくりと話すときも、彼の言葉には謙虚さと人に対してのリスペクトが常にある。

 
―それでは最後に、小田原で創業もいいなと思う方へ一言お願いします。
ワークライフバランスの面では、小田原は最高の場所です。新幹線の駅があって東京にも簡単に行けるし、自然が豊かで家族との暮らしも充実させられる。家族と仕事を両立させられる場所だと思います。そして、素晴らしい人々との良い繋がりを持つことができます。少し探すと宝石のような人がいる。小田原は大きさもちょうど良いですよね。自分にとって大事な人を見つけられるくらいの小ささと、毎日同じ人と会わなくてすむくらいの大きさで(笑)、私にとってはパーフェクト。
誰でも、どこでも、がんばれば成功できると思います。これからは仕事はどこでもできるようになる時代ですから、好きなところで暮らすのが良いのではないでしょうか。

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