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第3新創業市からのお知らせ
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レポート:『組織3.0 個人と会社の間にある新しい組織のかたち』(’19 みんなのビジネススクール第4回)
11月23日『みんなのビジネススクール』を開催しました。この日はR不動産株式会社代表取締役、吉里裕也さんをお招きしました。今回は「組織3.0個人と会社の間にある新しい組織のかたち」をテーマに、会社を設立した頃から現在の課題まで、多岐にわたりお話していただきました。(レポート:第3新創業市 学生インターン 杉山華菜子)
《 吉里 裕也さん:R不動産株式会社 代表取締役 》
東京都立大学工学研究科建築学専攻を終了した後、ディベロッパー勤務を経て、2003年「東京R不動産」2004年にSPEACを立ち上げるとともに、CIA Inc./The Brand Architect Groupにて都市施設やリテールショップのブランディングを行う。建築・不動産の開発・再生のプロデュースや建築デザイン、「東京R不動産」「leallocal」「toolbox」「公共R不動産」、全国のR不動産等グループサイトのディレクション、地域再生のプランニング等を行っている。
吉里さんは新しい視点で不動産を発見し紹介することをコンセプトとしているR不動産と、DIYリノベーションによる空間づくりのための商品をEC販売している株式会社TOOLBOXの取締役をしています。また、東京R不動産の運営元である株式会社スピークの代表取締役でもあります。3つの会社に共通していることは空間を作るということ。社会課題と事業課題を空間と仕組みのデザインで解決していくことが目的だと仰っていました。今回はその3社の組織について、採用・カルチャーをメインにお話していただきました。
採用/雇用形態
R不動産では少し変わった雇用形態をとっています。ホームページの募集要項にも記載されているように、不動産仲介営業スタッフは業務委託契約・契約社員として雇っているのです。これは半個人事業主という考えからきていて、お給料についても完全な固定給はなく基本的には成果報酬。一見厳しいように思えますが、不動産仲介営業の人たちには向いているそうで、メンバーのパフォーマンスを発揮させるには合っていると吉里さんも仰っていました。しかし、普通の会社のように正社員・固定給という働き方とは少し違うため、それに合うか合わないかは、何度も面接をして決めているそうです。特に一緒に働く社員の方の意見を大事にして採用か不採用かを判断していて、時には5次面接までするのがこだわり。また、事業が拡大していくことでオペレーション業務もはじまり、社員が増えることで社内のバランスが少しずつ変わり始めました。そのことについて、次の「カルチャー」の項目で説明します。
カルチャー
会社立ち上げの頃からいてバリバリ働いているメンバーからしたら、定時に帰れて働いた分のお金がもらえればいいという感覚のひとの考えは理解しづらいですよね。メンバーが増えてくると、それだけ人間関係が難しくなってくるもの。例えば、意見の食い違いが起きたり不満があっても言い出せなかったり、人数が増えてオフィスを広いところに移したら、その分チーム間のコミュニケーションが減ってしまったり…。そんなときは会社全体が良い雰囲気になるように、合宿をしているそう。タイミングはメンバーからモヤモヤの声を受け取ったら、とその時々。内容もそれぞれで、キャンプ場に行ったり宿泊施設のあるコワーキングスペースに行ったり。社員の考えや価値観を、全員が100%合わせて理解することは無理かもしれません。しかし、その作業をして互いの気持ちを共有することに意味があるのですよね。
今まで働き方の多様性についてもこのビジネススクールで学んできましたが、今回の講座では新たに経営者からの視点を学ばせていただきました。会社を運営している途中、契約社員から正社員として雇用してほしいという声があがってきたそうです。そのひとたちは、契約社員のまま雇用し続けるというのは、会社として責任を放棄しているのではないか?という意見を持っていたそうです。確かに私も正社員のほうが安心して働ける気がするし、半分歩合制だなんてスキルや経験、実力がないとすごく挑戦的なことだなと思ってしまいました。吉里さんとしては社員一人ひとりの働きかたを尊重したいと思った結果、特に女性は出産や子育ての面を考えると半個人事業主として働くほうがやりやすいのではないかという考えに至ったそうです。また、やりたいことや金銭的なことなどの価値観が合うひとであれば、雇用形態関係なく働いていきたいとも仰っていました。
吉里さんはR不動産の働き方は、独立と会社員のいいとこ取りだと仰っていました。受講者の方から独立をしたほうがいいのでは?という質問もありましたが、なぜ独立をしたいのかということを考えた時、社員はビジネスの1から10まで全てをひとりでやりたいわけではないそう。会社のプロジェクトである程度やりたいことができ、ひとりだと出てきてしまう甘えや寂しさもなく働ける職場に居心地が良いと感じている社員が多いことがお話の中でわかりました。私は今までは会社選びや働く条件としてワークライフバランスが重要視されているか、というのが大事なポイントだと感じていました。しかし、その会社にどんなカルチャーがあって、自分にはそれが合っているのかということも働くうえで大切なことだと学ぶことができました。
2019年度の『みんなのビジネススクール』は多くの方にご参加いただき無事終了いたしました。参加者の方がこれからどんな事業をスタートされるか、楽しみです!
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